
書面調査・目視調査・裏面調査で石綿非含有と判定できない建材は石綿含有とみなして除去等を行うことができます。コストを抑制する観点から、石綿含有の可能性が低く、分析費用より除去等の費用が大きい場合は、試料を採取して分析調査を実施します。他の観点から、分析を選択するケースもあります。
書面調査・裏面調査で石綿非含有と判断できない建材の試料を採取しながら推定した石綿の有無はよく外れます。
書面調査・目視調査・裏面調査で石綿非含有と判定できない建材を石綿含有とみなした場合も、分析で石綿含有となった場合と同様に、石綿含有建材の種類・使われている場所・使用面積を報告書に記載し、石綿含有建材の除去等と除去した石綿含有建材の処理(収集運搬と処分)が必要です。
石綿含有とみなすことが多い建材
- 波板スレート:ほとんど石綿含有
- カラーベスト:多くが石綿含有
- 押出成形板:多くが石綿含有
- スレート平板:多くが石綿含有
- 巾木(接着剤を含む):使用面積が小さく、除去と処理の費用が小さい。
- コンロ廻りの不燃材:使用面積が小さく、除去と処理の費用が小さい。
分析することが多い建材
- 鉄骨耐火吹付材(レベル1の建材):飛散性が高いので除去等の費用が高額
- 配管保温材等(レベル2の建材):飛散性が高いので除去等の費用が高額
- ケイカル板1種(薄いケイカル板):飛散性が高いので破壊を伴う除去費用が高額
- 仕上塗材:飛散性が高いので除去費用が高額
- ビニル床タイル(接着剤を含む):面積が大きいと除去と処理の費用が高額、石綿非含有が多い
- 石こうボード(壁紙を含む):面積が大きいと除去と処理の費用が高額、石綿非含有が多い
裏面調査(製品裏面の認定番号、メーカー名、製品名、工場やロット番号)が可能な場合は
建材メーカーに照会し、石綿含有・非含有が判明することがあります。
石綿非含有と判明した場合は石綿非含有(無石綿・ゼロアスベスト)証明書を入手できます。
試料採取
- 調査者とアシスタントの2名以上で実施します。お客様にアシスタントをお願いする場合があります。
- 安全とコストの観点から、特にご要望がない限り、吹き抜け上部等の建材は採取しません。
- 図面調査と目視調査で同一と判断した使用範囲が大きい建材は、3か所から採取した試料を1つの分析用試料とします。
- 工事の内容によって、層別分析(仕上塗材など)を想定して試料を採取します。
- 石綿の有無と種類を分析します。ご要望によって、同時に石綿含有率を分析します。
- 試料採取から7営業日後を目途に分析結果の速報をお知らせします。*至急案件にも対応します。
- 速報後5営業日までに石綿事前調査結果報告書を提出します。*至急案件にも対応します。
5.試料採取・分析
分析を行うこととなった建材の試料採取については、目的とする分析対象を採取できるよう同一材料と判断される建築材料ごとに、代表試料を選定し、採取しなければならない。
① 試料における混入の防止
採取時における他の試料の混入を防止するため、採取箇所ごとに採取用具は洗浄する、手袋は使い捨てのものを使用する等、必要な措置を講じる。また、採取しようとする材料に別の材料が接着している場合は、試料採取時に接着している材料を剥離しておく。また、当該建材が破損しやすく、剥離が困難な場合は、運搬時などに混ざってしまわないように注意するとともに、分析者に分析対象部分を明確に指定することが重要である。
② 採取箇所等の考え方
一般に分析は、分析対象の代表性と変動性(均一性)を考慮したものとすべきであり、建材の石綿分析においては、具体的には、
ⅰ現地での目視調査において同一と考えられる範囲を適切に判断し、
ⅱ試料採取において建材にムラがあることを考慮しなければならない。
例えば、ⅰの例として、吹付け材であれば、色違いの部分や複数回吹付けがなされた場合は、それぞれの施工部位を別の建材と判断する必要がある。
ⅱについて、吹付け材の場合であれば、試料採取は該当する吹付け面積を3等分し、各区分から1個ずつサンプルを採取する。
試料採取箇所の判断を適切に行う観点から、石綿に関し一定の知識を有し、的確な判断ができる者が採取箇所の判断を行う。
③ 試料の採取方法
吹付け材、保温材等、仕上塗材について各採取箇所で下地を確認できるように、躯体との界面まで貫通して試料を採取する。
なお、吹付け材については、多層の吹付けが行われていた場合に表面と内部とで石綿の含有の有無等が異なる場合があることからも、下地近くまで採取することが必要である。
④ 試料の採取量
試料採取の必要量等は、JIS A 1481-1 やJIS A 1481-2 をベースとした厚生労働省「アスベスト分析マニュアル」に記載されている。実務上は、分析機関に確認するのがよい。
⑤ 試料採取時の石綿の飛散・ばく露防止
試料採取時の石綿の飛散・ばく露防止のため、湿潤化や保護具の着用等が必要であり、試料採取時に粉じんを飛散させないように、霧吹きなどを用いて常に湿潤させながら実施するとともに、採取者が粉じんを吸入しないように呼吸用保護具、手袋を装着し、作業衣を着用する。作業衣または保護衣は、粉じんの付着しにくい「JIS T 8118 静電気防止作業服又は同等品」等が望ましい。
試料採取したときは、採取痕から粉じんを飛散させないよう適切な補修の手段を講じる。
試料採取は、試験研究の業務であることから石綿作業主任者の選任義務はないが、試料採取作業者の石綿ばく露防止の観点から、石綿作業主任者を選任することが望ましい。
⑥ 試料採取に必要な器材の確認
次のような器材を準備する。
・ 保護具
呼吸用保護具・保護眼鏡・作業衣または保護衣・手袋・保護帽・安全帯など
・ 採取用具
採取対象の材料に適したもの・採取用トレー・採取袋(大・小)・カメラ・ホワイトボードなど
・ 安全衛生用具
高性能真空掃除機・養生シート・養生テープ・粉じん飛散抑制剤・粉じん飛散防止処理剤・ウェットティッシュ(保護具の付着物除去)など